第69回全国珠算研究集会開催 ㏌岡山 part2
第2講座
「TEAM」― 各委員会の活動紹介 ―
研修学教・検定競技・広報・珠算教育研究所の各委員会
全珠連の主な事業を運営している各委員会を紹介する第2講座。
はじめにAIナレーターにより、各委員会の成り立ちや主な業務が紹介されました。
続いて活動内容の詳細やメンバー紹介を、各委員会が独自に作成したムービーを使い自ら紹介しました。
それぞれの個性が表れたユニークなものであり、会場内は終始和やかなムードでスクリーンに引きつけられていました。
各委員会の主な活動内容は次のとおりです。(当日の紹介順で掲載)
<検定競技委員会>
・珠算、暗算、フラッシュ暗算検定試験の実施
・検定試験制度の改善および研究
・全日本珠算選手権大会、全日本通信珠算競技大会の開催
・珠算競技大会の共催および後援、運営指導
<広報委員会>
・全珠連会報や全国珠算新聞の編集
・啓発ポスターの作成
・イラストコンテストの実施
・SNS等を活用した広報活動
<珠算教育研究所>
・日本そろばん資料館の運営、そろばんサマーミステリーの実施
・算数教具部会、教育座談会、学術顧問会議の開催
・オンライン講習会の実施
・珠算に関する文献・資料の収集および保存
<研修学教委員会>
・全国珠算研究集会の実施
・珠算春秋の刊行
・珠算指導者講習会(オンライン)、人材育成講習会、現職教員研修会の開催
・珠算教育士、珠算教育段位、単位認定の資格認定
最後に岡久副理事長が総括され、全国の先生方から各委員会へ要望・意見を寄せていただき、よりよい委員会活動ができるよう、全珠連の成長を促していきたいと締めくくられました。
全珠連会員であっても委員会の活動内容は普段なかなか見ることがなく、それを知る機会は少ないでしょう。
各委員会の思いはひとつ、それぞれの事業を通して全珠連の珠算教育の普及と発展を願って活動しています。
そのような熱い思いが伝わる講座でした。
第3講座
「珠算と出会えて本当に良かった」
~60余年の人生を振り返って珠算のおかげと思えること~
元パナソニック株式会社 珠算部 加藤 修 氏
『珠算と出会えて本当に良かった』というテーマに、受講前から興味を抱かれた先生が多くいたことでしょう。
珠算を始められた1969年4月から、2014年12月の競技生活を終えるまでの経歴について、中でも1983年8月の全日本珠算選手権大会での優秀な成績であった思い出を、懐かしさを交えながらお話しいただきました。
続いて、パナソニック時代の業務内容から現在の活動である未来塾までのお話がありました。
次に、人生を振り返って珠算のおかげと思えることを10項目でお話しいただきました。
中でも算数・数学への好影響、頭の中で計算を自由に処理できることへの便利さ、思考が途切れないことの優位性、努力の大切さや自己成長などが印象的でした。
これらのことはこれからの珠算教育のアピールの方法であることだと強く感じました。
長く続けていた珠算ですが、受験勉強との両立に葛藤が出始め、無断で通塾を辞めたこと、高校1年でサッカー部に所属するも珠算に比べ味気ない日々だった話、珠算再開の決意と高校の勉強(数学と英語)を前倒しで完成する決意へと話は続きました。
さらに、エンジニアとしての成長と珠算選手継続の両立の葛藤の話では、1986年の光ディスク用LSI開発が転機になったこと、『研究開発の仕事』が競技人生のように感じられたことなどは、まさに珠算教育と相通じることがあると感じました。
「珠算と勉強の両立に悩む子供たちに贈るエール」では、珠算継続に悩んでいる生徒たちへのメッセージを語りました。
加藤氏自身が一度通塾を辞めた実体験であるだけに、説得力のあるものでした。
それとともに、小・中・高におけるつまずきの部分(小学生での分数・中学生での文字式・高校生での関数)を丁寧に説明していただきました。
最後に「何か一つのことに無我夢中になったという経験が、その分野の能力が付くという効果を超えて、『○○のおかげと思えること』をたくさん保有し、その後の人生につながっていく」という言葉の中に、優しさを感じ取られたり、珠算教育の大切さを再認識されたりした先生が多くいたことも確かでしょう。
貴重な多くの時間を割いてご準備いただいたことに感謝したいです。
第4講座
「自由で、楽しく、子どもが自ら取り組む教室を目指して」
― そろばん教室で「自分からやる子」を増やす実践報告 ―
福岡県 石川 太郎 氏
日々の指導で感じた違和感に、自身の指導に問題がなかったかに向き合い、悩み、そんなときに出会った本『叱らず、問いかける子どもをぐんぐん伸ばす対話力』(池上正氏著)が、これからの道を示してくれたとのこと。
これからの目標として、「そろばん学習に自主的に取り組む生徒を増やすために、生徒の自主性を引き出す指導を心がける」「子供たちを楽しませて、喜びをあたえられる教室を目指している」と述べられました。
次に自分自身と教室を変える取り組みとして行った6つの実践内容を示されました。
①干渉しすぎない、管理しすぎない
「ダメ」という言葉を使わないよう心がけ、子供たちが自発的にやりたい練習をさせ、タイミングを見て生徒の希望を尊重しつつさりげなくハードルを高くするようにしました。生徒が納得して練習できるように教え方を変え「今日は何をやろうか?」の声かけを意識しています。
②生徒に選ばせる
やる・やらないは自分で決めさせる、できる・できないも本人次第、「できなくても心配ないよ、大丈夫だよ、まずは一回試してみようか」と声をかけ、無理にやらせず自分で選ばせます。
③どんなときも感情的にならない
指導者の焦りや感情的な態度は生徒に伝わり、結果として生徒のモチベーションが下がります。その子に合った指導を考え、余裕をもって接っします。感情的な態度をとっていないかを見直したら、生徒もおだやかに練習できるようになりました。問題行動には余裕とユーモアをもって対処します。
④先生には何を話しても大丈夫
安心感を得ると、子供の自主性を高め、自分の考えや意見を表現しやすい環境を作ることにつながります。教室が安心・安全な空間だとわかれば、生徒は伸び伸びと練習に取り組めるようになります。
⑤夢中にさせる(没頭させる)
夢中になれる練習メニューを選んで、子供たちをほめます。勝ち負けのある練習内容・ルールを考え複数人で練習させます。小さなミッション(課題)を設定します。練習の成果を『見える化』します。
⑥そろばんを楽しませる
面白い練習、生徒が喜ぶ練習を考える。
結びにご自身のこれからやりたいこととして「生きた暗算力の指導」「指導者の知恵を結集した知恵袋の作成」「近隣の先生との連携」「YouTubeにてそろばんの魅力を発信すること」を挙げられました。
終了後は、会場に同席されたお母様とともに大きな拍手が送られました。