世界の珠算教育事情(トンガ王国~噴火災害後~編)Vol.17
from 国際珠算普及基金
ご存知のように、1月15日に発生した南太平洋トンガ沖のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ海底火山の噴火により、トンガ王国全土が甚大な被害に遭いました。
当基金では、噴火後のトンガの教育環境がどのような状況にあるか調査するため、在トンガ日本大使館に連絡を取り、トンガ教育訓練省職員による近況報告を入手しました。
この近況報告によると被災者は84,776人(人口の84%)、影響を受けたのは99,059人(人口の99%)に及び(トンガ統計局によるトンガ人口調査予備結果に基づく)、学校関連では本島で2校、離島で7校の公立小学校が特に大きな被害を受け、各小学校で管理している教科書やそろばん(※)の損壊も少なくありません。
噴火災害以上に教育環境に大きなダメージを与えたものが新型コロナウイルス感染症で、海外からの入国者以外で初めての感染者が確認されたため、2月2日よりロックダウンが行われ、感染状況により規制内容を変えながら現在まで続いています。
小学校の休校は現時点(5月)でも継続中であり、英語、トンガ語、数学、理科といった主要科目の授業が、毎日1教科あたり30分の放送で行われています。
算数の授業の一環として行われている珠算については、毎回3~5分読上暗算が行われているに過ぎません。
このような状況下においても、トンガ教育訓練省がそろばんの子供たちに与える効果を考慮し、珠算教育の歩みを止めていないことは特筆に値します。
※トンガでは教科書、そろばんは個人の所有ではなく、学校の備品となっています。