みちしるべ
教材づくりを楽しむ
From 向山宣義(全珠連学術顧問・元玉川大学教職センター教授)
「ピタゴラスクラブⅡ」(武蔵野市教育委員会主催)という土曜教室で、算数の授業をさせていただいている。
対象は4年生。
その教材づくりが楽しい。以下にそのプロセスを紹介したい。
計算の法則(きまり)で、あまり教科書では扱っていないものの中で、下の㋐や㋑がある。
㋐ □-(〇+△)=□-〇-△
㋑ □-(〇-△)=□-〇+△
これを教材化しようと思う。
㋐や㋑に限らず、計算の法則(きまり)について、子どもは「( )のある左辺の式と( )を開いた右辺の式を等号で結んでよいこと」を、なぜそうかを考えず、単に「きまり」として、受け止めがちである。
また、教科書で例えば「□に10、〇に5、△に3を当てはめて計算して、等号でつなげるか確かめましょう」としているので「計算して答えが同じだから」としがちである。
そこで、この等式が成り立つことを考えさせたい。数学的な見方・考え方を育てるのがねらいである「ピタゴラスクラブⅡ」の教材になると思う。
□、〇、△では4年生では難しいので、数値の式で問題を出すことにする。
問題1 ㋐の左の式と右の式を、等号でつなげることを説明しましょう。
子どもはどうするだろうか。
多分、左辺と右辺をそれぞれ計算し、「どちらも、2だから=で結んでよい」とすると思う。
そこで「数を変えたらどうする?」と問うと、子どもからは、「また、計算する」「面倒だなあ」などの声が出そうである。
ここで「問題2」を出す。
問題2 ㋐で、計算しなくても左の式と右の式を等号でつなげることを説明しましょう。
子どもがこれまでに経験している「線分図」(図1)を書くのを期待して…。
次は子どもから「㋑をしよう」と来るだろう。
こんなふうに、教材づくりを楽しんでいる。