歴史の中のそろばん
昔から暮らしの中で数を認識するのに役立っていたそろばん。そろばんが今の形になるまでにどんな進化を遂げてきたのか、時代を追ってのぞいてみましょう。
原始時代
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数えることの始まり
棒や木の幹に刻み目を付けたり記号を書いて数を記録 - 地面に線を引き、その上に小石を置いて計算する方法が生まれた
大和時代
- そろばんについて中国最初の本「数術記遺」が書かれる
- 万葉集に九九を使った歌があった
平安時代
- 「算木」という計算用具で、足し算、引き算、掛け算、割り算をしていた
鎌倉時代
- 中国で五珠2個、一珠5個のそろばんが使われていた
- 中国で割り算九九ができる
室町時代
- この頃に中国からそろばんが伝わってきた
安土桃山時代
- 五珠が1個のそろばんが出てきた
- 文禄の役(1592年)のときに 前田利家が陣中でそろばんを使用した
江戸時代
- 大津でそろばんが作られ始めた(1612年)
- 日本で割り算九九が広まった
- 吉田光由が「塵劫記」を出版し、そろばんはこの本とともに普及する(1627年)
- 関孝和によって、日本の数学(和算)が発達した
- 寺子屋が増え始めた
- 「算法新書」が刊行された(1830年)
- 足し算、引き算が珠算の学習に大切と考えられるようになった
日本で今残っている一番古いそろばんの本は、毛利重能が元和8年(1622年)に書いた「割算書」と呼ばれているものなんだ。
明治時代
- 西洋の数学が入ってきた
- 三重県に「伊勢百日算」が生まれた(1872年)
- 小学校での算術に珠算が採用された(1873年)
- 五珠1個のそろばんが多くなる
- 貯金局でそろばん競技会が開かれた(1902年)
- 文部省から「小学算術書珠算教師用」が発行された(1907年)
五つ珠(たま)とは、今のそろばんより珠が一つ多いそろばんだよ。
大正時代
- 五珠1個、一珠5個のそろばん(五つ珠そろばん)が使われるようになった
- 二指法が多くなってきた
- 文部省固定教科書で掛け算九九が「総九九」となる(1925年)
昭和時代
- 高等小学校で珠算を学ぶことになった(1926年)
- 検定試験が始まる(1927年)
- 割り算九九が使われなくなり、商除法が普及し始めた
- 四つ珠そろばんが多くなってきた
- 尋常小学校で算術に珠算が必修となった(1935年)
- 全国珠算競技大会が初めて開かれた(1936年)
- 社団法人全国珠算教育連盟が設立される(1953年)
- アジア珠算会議が開催される(1961年)
- 世界各国へ珠算が普及され始める
- 目が不自由な人のための検定試験が初めて実施される(1965年)
- 8月8日が「そろばんの日」と決められる(1968年)
そろばんをはじくとき、「パチパチ」と音がすることから8月8日に決まったんだって。
平成時代
- そろばんが宇宙へ行く(2008年)
- 全国珠算教育連盟が公益社団法人の認定を受ける(2013年)
- 日本そろばん資料館が開設される(2013年)
- そろばんが世界遺産に登録(中国、2014年)
- 由緒書きのある日本最古のそろばんが発見される(2014年)
- 「吉田光由記念碑」二尊院に建立(2015年)